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ソルトウォーターバッシングは効果なし?失敗する・危険との声が続出
美容と便秘解消に効果的とされた塩水洗浄「ソルトウォーターバッシング」。即効性と手軽さで話題になったソルトウォーターバッシングですが、効果がなく危険なダイエットだと判明し取りざたされています。ソルトウォーターバッシングの効能と危険性についてまとめました。

目次
塩水洗浄「ソルトウォーターバッシング」とは
「ソルトウォーターバッシング」とはアメリカ人のスタンリー・バローが1940年代に考案したとされている腸内洗浄法。いわゆるデトックス(解毒)方法のひとつで、マスタークレンズ療法とも呼ばれていました。
ソルトウォーターバッシングの効果は、腸内を塩水洗浄することで便秘を解消し、体内の余分なものを排出して栄養の吸収効率を高めることにあるとされています。
ソルトウォーターバッシングによる塩水洗浄のやり方はとても簡単。毎朝1リットルの生理食塩水を飲むだけ。つまり1リットルの水に9グラムの塩を溶かしたものを飲むだけだそうです。
ちなみにWHOの定めた「1日の塩分量の目標値」は1日5グラム未満。厚生労働省の定めた目標値は1日8グラムとなっています。ソルトウォーターバッシングだけで1日の摂取量を大幅にオーバーしてしまう数値。その数値を知っていれば、この塩水洗浄に「おや?」と思う人も少なくないでしょう。
レモネードダイエットとソルトウォーターバッシング
ソルトウォーターバッシングの初出はアメリカ人の自然療法家スタンリー・バローが出版した「ザ・マスター・クレンザー」などの本にあるとされています。今日ではダイエット方法として扱われていますが、もともとは潰瘍の治療のために編み出された方法のようです。
上述したソルトウォーターバッシングを行い、ハーブティーとレモネード、メープルシロップ、カイエンペッパーのみを飲用、食事はいっさいとらないという健康法。便秘解消やダイエット以前に、固形物を口にしないという極端さが特徴です。
「ザ・マスター・クレンザー」の改訂作業にあたり、同じくアメリカ人のピーター・グリックマンがレモネードダイエットとソルトウォーターバッシングを実践し、「初期は辛いが8日目頃から楽になってくる」と語ったそうです。
これは飢餓の初期症状であると指摘されており、皮肉にもグリックマンの挑戦はレモネードダイエット・ソルトウォーターバッシングを続けていれば飢餓で死に至るという証明になったという声も寄せられてしまったようです。
ソルトウォーターバッシングでダイエットに便秘解消?
なぜソルトウォーターバッシングが流行したかというと、それは短期的に見れば効果があるように見えたからでしょう。このソルトウォーターバッシングを実行すると直ちにトイレへ駆け込む必要があるほどで、下剤を飲むよりもよっぽど強烈な便秘解消効果があるとのこと。
生理食塩水1リットルを飲むという苦行を終えてしまえば、あとは腹痛などの痛みはなくただひたすらトイレにこもっているだけになるので、ソルトウォーターバッシングを行っている本人は危険なものであると意識しないようです。
体内の水分を排出するために塩水洗浄を行うと体重の数字だけで見れば確かに減少します。しかしこの便秘解消とダイエット効果は非常に一時的でその後の失敗が約束されており、「必ずリバウンドするダイエット方法」と栄養士からは指摘されていますから、ダイエットとしてはやはり無価値なようです。
ソルトウォーターバッシングに確認された効果と危険性
つまりソルトウォーターバッシングは身体に必要なものを排出し、一時的な減量をしているだけに過ぎません。サウナで汗を流すと体重が減るものの、水を飲めばすぐに戻ってしまうのと同じことでしょう。
歌手やセレブなど世界中の有名人たちがこのソルトウォーターバッシングを試しましたが、総じてリバウンドして失敗したそうです。成功例として挙げられた女優のビヨンセでさえ、ソルトウォーターバッシングで減量して挑んだ撮影中はいつも飢餓状態でイライラしていて、撮影が終われば暴食ですぐにリバウンドしてしまったとのこと。
ダイエットとは健康のために理想的な体重・体型を目指す行為ですが、いまさらいうまでもなくソルトウォーターバッシングは不健康極まりない行為。すなわちダイエット方法としては確実に失敗しているといえます。
ダイエットに潜む罠、ソルトウォーターバッシングの危険性
ソルトウォーターバッシングという行為――すなわち短時間で大量の水分と塩分を取ることは「嘔吐や粘膜からの出血、心不全や呼吸不全、腎不全、全身のむくみ」といった副作用があるとNHKにて報道されました。
ソルトウォーターバッシングは「食べ物をとらない」、「水を飲まない」といったダイエット方法に近いものです。塩分と水分を大量に摂取するため、下手をするとそれ以上に危険な行為といえるでしょう。
つまりソルトウォーターバッシングとは不健康に痩せる、内臓に負担をかけ下痢になることで便秘解消する、というとてつもない方法なのです。確実に失敗し、さらに命の危険さえあるというこの塩水洗浄は、体重なんか気にしている場合でなくなるという意味では究極のダイエット方法なのかもしれませんけれどね。
最悪のダイエット方法に選出された「ソルトウォーターバッシング」
日本でも2015年ごろに流行の兆しが見えたましたが、2016年頃に大学教授らの指摘やNHKで組まれた特集番組、それに伴う各種メディアの報道によって下火にあるようです。
お隣の韓国では2014年にソルトウォーターバッシングやレモネードダイエットを目的としたと目される市場の変化が観測されました。なんとレモンの消費量が例年の二倍近くまで跳ね上がったそうです。
そしてオーストラリア栄養士協会では2011年から2013年の3年間にわたり「最悪なダイエット方法」の項目にソルトウォーターバッシングを選出しました。有名人がブログなどでソルトウォーターバッシングを紹介するのを見て挑戦する若者が増えたのが原因でしょう。
近年になってソルトウォーターバッシングは瞬く間に世界規模で流行したため、各国ともに対応する必要に追われました。失敗が約束された危険で間違ったダイエット方法がこれほど急速に広まるのは恐ろしいことです。
ソルトウォーターバッシングが明るみにしたネットの恐怖
ソルトウォーターバッシングのような間違った健康法というのは古来よりありましたが、ネット社会となった近年においてはそういった間違い健康法でも爆発的に広まってしまうのが恐ろしいところのようです。
「最新の塩水洗浄!」や「一週間で驚くほど痩せる!」といったセンセーショナルな見出しであれば、誰でもついつい目を向け、誰かに教えたくなってしまうものでしょう。
そうして新しいダイエット方法や健康方法を試したい人は多く、長期的に見た安全性の確認や効果確認がされないままに流行してしまいます。また、効果ばかりが誇大広告のようにデカデカと喧伝され、リスクや注意点などがないがしろにされてしまうのも問題です。
ソルトウォーターバッシングのような「嘘ニュース」にご注意を
「生理食塩水による腸内の塩水洗浄」というようなさも効果のありそうな謳い文句に飛びついてしまうのが失敗のもと。最新の情報がたくさん出回っているネット社会だからこそ、ソルトウォーターバッシングのような「嘘ニュース」も多くまぎれこんでいます。
根も葉もないニュースをさも事実のように語ったり、証拠のない陰謀めいた話をさも事実のように語ったり。「真偽はわからなくとも面白ければよい」というような感覚の人は意外と多いようです。
アメリカの研究機関の調査によると、フェイスブックやインスタグラム、ツイッターといったSNS利用者の2割以上が「友人に偽ニュースをシェアしたことがある」という結果が出たそうです。
作られる偽ニュースと偽ブーム
先のアメリカ大統領選挙でもSNS上で非常に多くの嘘ニュースが出回りました。「ローマ方法がトランプ氏を支持している」というものが、さも事実であるかのように語り継がれていました。
複数の場所で同じ話題を目にすると、人はそれを事実かのように思い込んでしまうといいます。利用者の多いネット社会ではねずみ算式に爆発的に増えますから、やがて嘘が当然の真実かのように扱われてしまう危険性があるのです。
さらに興味深いことに2012年頃から企業や政治活動委員会から、大量の広告資金がSNS運営会社へとなだれ込むようになりました。流行や空気といったミームがSNSで形成される近代社会において、企業や政治団体もSNSで生まれる"偽"真実を利用しようと考えたのでしょう。
ソルトウォーターバッシングのダイエット・便秘解消効果に関するまとめ
以上がソルトウォーターバッシングに関するまとめとなります。ソルトウォーターバッシングは便秘解消やダイエットには効果があるのかもしれないのですが、危険と失敗が伴う非常に短絡的な手段であり、絶対にオススメできないダイエット方法です。
「一週間で驚くほどやせる!」という謳い文句には誰でも飛びつきたくなります。しかしダイエットの辛さを知り真剣に悩んでいる人ほど「そんなに甘い話なんかない」ということを身に染みて理解しているはずでしょう。誤った情報に流されず、健康的な美しさを追求していくことが大切なことではないでしょうか。
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