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白無垢の意味は?結婚式を和装着物であげる花嫁さんの豆知識♪
この記事を読んでおられる方の中には、結婚式に白無垢を着たいと考えている方や、実際に和装で式を挙げられた方もいるのではないでしょうか。白無垢という着物には、その色や模様に様々な意味がこめられています。着る前に知っておきたい白無垢の意味をご紹介いたします。

目次
白無垢とはどんな着物?
冠婚葬祭ではフォーマルウェアに身を包み、仕事場では制服やビジネスカジュアルと呼ばれる服に袖を通し、家ではルームウェアでくつろぐように、着物もTPOに応じた使い分けが求められます。白無垢は礼装に分類されている着物の中でも最も格が高く、結婚式の際に花嫁が着用するものです。
日本では平安時代から、婚礼には白い衣装を使っていました。白無垢が誕生したのは、結婚をはじめとする儀式の作法が定められた室町時代のことです。現代の白無垢は、絹や化学繊維で作られています。
白無垢の構造①着物と帯
どんな種類の着物を着るときでも、最初に身に着けるのは肌着です。その上に長襦袢や着物を着て、帯を締めるのが和装の流れです。白無垢を着る時に必要な着物と使う帯について、説明をいたします。
掛下
長襦袢の上に着るのが、掛下(かけした)と呼ばれる振袖です。従来は白無垢には白い掛下を着るものでしたが、最近では色掛下と呼ばれる色付きのものもあり、打掛との組み合わせが楽しめます。
帯
白無垢や色打掛は花嫁衣裳であり、和装の第一礼装にあたります。着物と同様、帯にも格があるため、掛下には丸帯か掛下帯を使います。帯の下に、装飾用の抱え帯を結ぶこともあります。
打掛
白無垢という名前の通り、白い打掛(うちかけ)です。白無垢は結婚式にのみ着用します。色の付いた色打掛は、結婚式はもちろん、披露宴でも着ることができます。
白無垢の構造②綿帽子や角隠しの意味
和装には、それにふさわしい髪型があります。結婚式の花嫁は、文金高島田という形に髪を結いあげます。現代では、自分の髪だけで文金高島田を結ぶ花嫁は少なく、カツラが使われています。披露宴のことも考え、洋風の髪型で白無垢を着る花嫁もいます。
綿帽子は白無垢専用
文金高島田に綿帽子をかぶるのは、白無垢の花嫁に限られています。本来は綿を広げて作った帽子で、寒さを防ぐために使われていましたが、江戸時代以降は儀式にのみ使われるようになりました。
結婚式に用いられる綿帽子は、綿ではなく絹で作られており、結婚式が終わるまで、花嫁は花婿以外の人間に顔を見せないという意味がこめられています。綿帽子は花嫁の奥ゆかしさや清楚さを意味しているのです。
角隠しは色打掛にも着用OK
白無垢だけではなく、色打掛や裾を引きずる大振袖(引き振袖)で結婚式を挙げた花嫁も着けられるのが、角隠しです。花嫁の髪を覆うように着けた角隠しは、かんざしや髪飾りで飾ります。
なぜ、花嫁が頭に着ける布が角隠しと呼ばれるようになったのか、正確な理由は分かっていません。角隠しは、女性が鬼になることを防ぐためのまじないであるとも、怒りや憎しみ、嫉妬などの象徴である角を隠して、夫や嫁ぎ先に従うことを意味しているのだとも言われています。能に使われている般若の面が女性であるように、昔から女性は鬼になると考えられていました。

白無垢の構造③小物類の意味
白無垢の花嫁は、打掛を着る前に様々な小物を帯や胸元に挟みます。花嫁の親が準備する小物類にも、様々な意味がこめられています。
末広
下の方が広がっていくことから、漢数字の八は末広がりと言われ、縁起の良い数字とされました。それに形が似ている扇子のことを、末広または祝儀扇と呼びます。花嫁は扇の要の部分を右手で持ち、左手で先端を持ちます。あくまでも儀礼用の物なので、広げたり、扇いだりするのはマナー違反です。
懐剣
刃物は「縁を切る」ことにつながるため、結婚祝いにはふさわしくないとされています。また、結婚式や披露宴で「切る」は忌み言葉とされています。しかし、実家から持たされた懐剣は、女性の身を守るための武器であり、悪しきものを退けるお守りでもありました。懐剣は刀袋に入れ、帯の左側に差します。
武家の女性と懐剣にまつわる有名なエピソードがあります。戦国時代の大名である斎藤道三は、織田信長に嫁ぐことになった娘に懐剣を渡して「もし信長が噂通りのうつけ(愚か者)ならば、これで刺せ」と命じたと言われています。それに対して、娘は「この刀は、父上を刺すことになることになるかもしれません」と答えたそうです。
筥迫
江戸時代の武家の女性は、筥迫(はこせこ)の中に懐紙や化粧品を入れて持ち歩いていました。現代では実用品というよりも装飾品として扱われており、花嫁衣裳や七五三の着物の胸元を飾っています。
白無垢の意味①嫁ぎ先の色に染まる
「嫁」という字は女へんに家と書きます。日本では長いあいだ、女性は結婚して、男性の家に入るものだと考えられていたのです。
冠婚葬祭や家事のやり方は、当然ながら家によって異なります。実家のやり方を通すのではなく、嫁ぎ先のルールに従い、家風に染まるという意思が、花嫁が着る白無垢にはこめられています。
白無垢の意味②私を染められるのはただ一人
現代の日本では、洋装でも和装でも黒い色の喪服を着用します。この習慣が広まったのは明治時代の事で、それ以前は白い喪服が一般的でした。夫に先立たれた女性は、白無垢を仕立て直して作った白い喪服を着たのです。それは別の色に染まらないことを意味しており、再婚はしないという意思表示でもありました。
白無垢の意味③白は神聖で高貴な色
奈良時代の日本では、外国から輸入された光沢のある白い絹は高級品でした。この時代には衣服に関する法律が作られ、白い袴は皇族などの身分の高い男性の礼服に定められていました。
清廉潔白という四字熟語や、無実の人間を示す「シロ」という警察用語があるように、白という色は、純潔や清らかさを意味しています。
白は生命を意味する色
日本では赤ん坊の産着だけではなく、亡くなった人にも白い経帷子を着せます。このように、白という色は生と死の両方に深く関わっているのです。
白無垢の意味④死と生まれ変わり
イエス・キリストの復活を例に挙げるまでもなく、世界各地の神話や宗教で、死と復活は重要な意味を持っています。日本古来の儀式である結婚式もまた、死と復活を意味していると考えられています。
女性にとって、嫁ぎ先の家の人間になるということは、生まれ育った家の人間、つまり娘としての死を意味していました。白無垢は、死にゆく人間の身を包む喪服なのです。
現代では、出産の際に実家に戻る「里帰り出産」をはじめ、実家に戻ることは珍しいことではありません。ですが昔の女性は、戻る場所(実家)はないから嫁ぎ先で生きていくという覚悟を決めて、白無垢を着ていたのです。
死んだ女性は、嫁ぎ先の人間として生まれ変わります。花嫁の白無垢は、新しく産まれた人間に与えられる産着でもあるのです。
赤もまた、生命を意味する色
白無垢には、袖や裾などに赤い布を使った赤ふきというものがあります。赤ふきの白無垢が誕生したのは、幕末のころだと言われています。赤はエネルギーを象徴する血液の色であると同時に、神社の鳥居などに使われている魔除けの色でもあります。
お色直しに、花嫁が赤い打掛を着る習慣もあります。悪いものや災いを退け、命を与えられて蘇るという意味が、赤い色にはこめられているのです。
白無垢の意味⑤吉兆柄
言うまでもなく、結婚式はめでたいことです。花嫁衣裳に描かれた動植物や模様は吉祥柄と呼ばれ、それぞれ意味を持っています。これらの美しさは、和装の魅力でもあります。
動物
「鶴は千年、亀は万年」ということわざもあるように、鶴は長生きを象徴する生き物です。また、生涯パートナーを変えず、協力して子育てを行うことから、鶴は夫婦円満も意味しています。花嫁衣裳には、伝説の生き物で、平和な時代に姿を見せる鳳凰(雄が鳳で雌が凰)や、麒麟が描かれていることもあります。
亀は鶴と同じく、長寿を意味する縁起の良い生き物です。六角形の亀甲紋は亀の甲羅をモデルにしたもので、着物だけではなく、家紋にも使われています。
植物
日本の国花として親しまれている桜は、新たな門出を意味していると言われています。また、正月に用いられる松竹梅も、縁起の良い植物として白無垢に描かれています。寒さに耐えるこれらの植物は、逆境に負けないことの象徴でもあります。
皇室の御紋であり、日本のパスポートにも描かれている菊の花は、古来、薬草として使われていました。このことから、着物に描かれた菊の花は、長寿や子孫繁栄を意味します。秋の花ですが、菊を描いた白無垢は、一年を通して着ることができます。
意味を知って白無垢を選びましょう
白無垢での結婚式を選んだならば、その由来や歴史、描かれている模様の意味を知っておきたいものです。また、白無垢に限らず、花嫁を美しく見せるのは立居振舞です。和装に慣れていないと難しいかもしれませんが、式の当日までに動きに慣れておきたいものですね。