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マインドフルネスとは?ハイパフォーマーが実践する本当の活用方法
今、世界中でマインドフルネスが人気です。医療や教育の現場、スポーツ界と共に、企業もかなり注目して活用しています。マインドフルネスとはどんなもので、企業のハイパフォーマーが実践している有効な活用方法とはどんなものか、調べました。

目次
- マインドフルネスとは?
- マインドフルネスの実践方法とは?
- 瞑想以外のマインドフルネスの手法
- マインドフルネスはどんな効果がある?
- マインドフルネスを実践している企業、官公庁
- 企業がマインドフルネスを活用する理由とは
- 企業によって仕事に必要な要素が違う
- 企業での実践方法とは?
- グーグルとは、どんな企業?
- マインドフルネスを活用したグーグル
- グーグルのSIYプログラムとは?
- ハイパフォーマンスのために瞑想が必要な訳とは?
- SIYプログラムがビジネスマンに人気の理由とは?
- チャディー=メン・タン氏の「やさしいマインドフルネス」
- マインドフルネスのためのアプリも活用しよう
- 日本でもSIYの講習が受けられる
- マインドフルネスを実践してハイパフォーマーになろう
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マインドフルネスとは?
マインドフルネスの起源とは

小乗仏教の伝統的な瞑想法である「ヴィパッサナー」を元にしてできたのが「マインドフルネス」だと言われています。「ヴィパッサナー」は、指導者によって方法が異なりますが、共通していることもあります。それは、呼吸を見守ること、心身の感覚を見守ること、歩きながら感覚や動きを見守ることの3つです。マインドフルネスもその特徴を受け継いでいます。
ジョン・カバットジン氏が創始者
マインドフルネスを起こしたのは、マサチューセッツ大学医学大学院教授のジョン・カバットジン氏といわれています。マサチューセッツ大マインドフルネスセンターの創設所長も務めています。彼は禅を学び、西洋科学と統合させてマインドフルネスを起こしました。そして、医療に活用しました。
マインドフルネスの本質とは

マインドフルネスは瞑想のことかというと、厳密には違います。マインドフルネスとは、価値判断せずに、今この瞬間の自分に意識を集中する、という概念のことです。今の瞬間に自分に起こっている内面的、外面的な状態をジャッジしないで、ありのままに受け入れることです。マインド(心)がフルネス(満たされていること)の状態を指します。
マインドフルネスは宗教色がない
マインドフルネスは、小乗仏教の瞑想法を元にしているにもかかわらず、宗教色がないのが特徴です。ですから、悟りを開くというような厳しい修行ではなく、日常生活の中で気軽に活用できるのです。

マインドフルネスの実践方法とは?
マインドフルネスは瞑想が有名
マインドフルネスの実践方法は、瞑想の他にもジャーナリングなど、たくさんの方法がありますが、一番ポピュラーな瞑想の仕方から始めましょう。マインドフルネスの瞑想もたくさんあるので、主なものを挙げておきます。
マインドフルネスの瞑想をする場所や時間
マインドフルネスの瞑想は、立っていても座っていてもできますし、歩く瞑想もあるので、場所は選びません。また、5~10分という短時間でいいので、通勤、通学、家事の合間に実践できます。忙しい人でもできるのが魅力です。3分ほどでも大丈夫です。慣れてきたら時間を伸ばしてもいいでしょう。
マインドフルネスの瞑想の基本
マインドフルネスの瞑想の基本は、背筋を伸ばすことが大事です。全身の力を抜いて、ゆっくりとした鼻呼吸をします。自分の呼吸に全ての意識を集中します。雑念が浮かんでもいいので、また意識を呼吸に戻しましょう。
座ってする瞑想とは

床に座ってあぐらをかくか、椅子に座ります。手は軽く膝に置き、背筋を伸ばしてリラックスします。ゆっくり息を吐き、吐き切ったら、ゆっくりと息を吸います。吐くのが5秒、吸うのが3秒を目安にしてください。呼吸しながら自分の呼吸や体、頭に浮かぶことをありのままに感じます。
立ってする瞑想とは
肩幅の広さに足を開いて立ちます。背筋を伸ばして全身の力を抜きます。手は楽にします。吐くのが5秒、吸うのが3秒を目安にして、ゆっくりと息を吐いて吐き切ったら、ゆっくりと息を吸います。呼吸しながら自分の呼吸や体、頭に浮かぶことをありのままに感じます。
歩く瞑想とは
できるだけ人が少なくて、周りを気にせずゆっくり歩ける場所でします。ゆっくり歩きながら足の裏に意識を集中します。足が地面に着く、離れる時の感覚をありのままに感じます。慣れてきたら足や胸、腕など全身のあらゆる部位を、順番に意識しながら歩きます。裸足がおすすめですが、無理なら靴を履いていても大丈夫です。
食べる瞑想とは
食事する時の瞑想です。深呼吸してから食べ始めます。お箸ですくった食べ物をじっくり見ます。それから、口に入れて、舌で食べ物の暖かさや感触を感じ、味わい、鼻でにおいを感じ、噛むときの食感、のどを通る感じをゆっくり集中してありのまま受け取ります。一口ごとにお箸を置くといいでしょう。
実際に講習を受ける場合は、食べる物が決まっていることがあります。東京マインドフルネスセンターでは、食べる瞑想の時におにぎりを食べます。一粒のレーズンをゆっくり食べながら自分の感覚を観察する「レーズンワーク」は、心理学の認知療法ではよく知られています。

瞑想以外のマインドフルネスの手法
ジャーナリングとは
瞑想以外のマインドフルネスの手法で人気があるのは、ジャーナリングという手法です。ジャーナリングは、5~10分間何でも思いつくことをノートや紙にひたすら書きつけることです。書くことによって、もつれた感情を解きほぐし、脳内を整理してすっきりさせます。どんな書き方でもOKです。
ラベリングとは

ラべリングとは、マインドフルネスで感情のコントロールをする手法です。やり方は、感情が湧き上がってきた時に、感情に言葉でラベルを貼るだけです。怒りが込み上げてきたら、自分は怒っている、怒り70%、悲しみ30%などというラベル付けをします。それだけで、感情をコントロールしやすくなります。

マインドフルネスはどんな効果がある?
マインドフルネスの効果がすごい
マインドフルネスを実践すると、たくさんの効果があります。うつの治療に活用されていますし、不安感やイライラ、ストレスが減った、感覚が鋭くなる、頭の回転が速くなった、記憶力と集中力の向上、ダイエットに成功した、不眠が治った、アンチエイジングにも効果があった、などです。小学校でいじめが減ったという報告もあります。
うつ症状の緩和と再発の防止
うつの治療にマインドフルネスを活用すると、うつ症状が緩和されるだけでなく再発も防げます。抗うつ薬を投与したグループよりもマインドフルネスを実践したグループの方が、うつ病の再発は少なかったという研究結果があります。ジョン・カバットジン博士が作った8週間プログラム、マインドフルネス低減法(MBSR)が広く実践されて、効果が出ています。
不安、ストレスを減らす効果も
マインドフルネスの研究で、実践者の扁桃体(不安や恐怖に関係がある)が5%減少したことから、ストレスに対して過剰な反応をしなくなることが判明しました。マインドフルネスは不安やイライラ、ストレスにも効果があるのです。マインドフルネスの状態にあると、今の自分が抱えている、負の感情を客観的に捉えることができるため、冷静に対処できるようになります。
感覚が鋭くなり、頭の回転が速くなる

マインドフルネスの瞑想をした後は、脳内のリフレッシュができるため、感覚が鋭くなり、頭の回転も速くなります。仕事の優先順位がつけられるようになって、仕事の効率が格段に上がります。マインドフルネスの瞑想をすると、普段は思いつかないような斬新なアイデアが浮かんだりもします。
記憶力、集中力の向上
研究で、マインドフルネスの実践者は海馬の灰白質(情報処理を司る)が5%増えたことから、記憶力がアップする効果が認められます。別の実験でも、マインドフルネスによって学生の記憶力と学業成績が向上したり、瞑想したグループは、他のグループよりもストレスが少なく、集中力も直感力も向上した、という結果が出ています。
記憶力に関しては、特に短期記憶力がアップしたという報告があります。学生にとって記憶力は必須の要素なので、ぜひ活用してもらいたいと思います。マインドフルネスによる記憶力アップは、学生だけでなくビジネスマンや主婦にもうれしい効果ですね。
ダイエットにも効果がある
マインドフルネスの実践によってストレスが減るので、ストレスによる食べ過ぎが減ります。食べる瞑想も五感を意識しながらゆっくり食べるため、必然的に食事の量が少なくなります。そのため、ダイエットが成功するのです。マインドフルネスは、過食症や拒食症にも効果があります。

マインドフルネスを実践している企業、官公庁
医療や教育の分野だけでなく、企業や官公庁もマインドフルネスに注目して、仕事に活用し始めています。グーグル、アップル、マイクロソフト、フェイスブック、インテル、マッキンゼー、ゴールドマン・サックス、ナイキ、ヤフー、アメリカ海軍、アメリカ国防総省、アメリカ農林省森林局など大手企業や官公庁がマインドフルネスを取り入れています。

企業がマインドフルネスを活用する理由とは
最近の勉強熱心なビジネスマンは、成績を上げたり自己研鑽のために、ビジネス本を読んだり、ビジネススクールに通ったり、異業種交流会やセミナーに参加したりしています。それは立派なことですが、逆に疲れてしまい仕事に支障をきたすことがあります。せっかくの知識や技術がうまく生かせないことが多いのです。
知識や技術を生かすためには、心が整っていることが大事です。マインドフルネスを活用すると、自然とストレスが減り、感覚が鋭くなって、頭の回転が速くなり、記憶力と集中力が高まります。社員の幸福感やモチベーション、効率アップに悩む企業が社員研修で活用するのは当然かもしれません。

企業によって仕事に必要な要素が違う
企業ならどんな業種でも仕事に必要な要素が同じかと言えば、そんなことはありません。IT企業なら社会の変化に迅速に対応する必要があるので、ユーザーの嗜好の変化に敏感であることが求められます。製造業の分野なら会社関係者との人間関係や製品の完成度などに重点が置かれます。業種によって求められる要素が異なります。
もちろんどんな仕事においても、ストレスが少なく、鋭い感覚を持ち、頭の回転が速く、記憶力と集中力が高いことは、共通して必要な要素です。それがマインドフルネスで培えます。業種に関係なく、心が整っていれば個人の能力は最大限に発揮できます。個人の問題がクリアになれば、おのずと仕事に身が入ると言うものです。

企業での実践方法とは?
今や世界中の大手企業が取り入れているマインドフルネスは、グーグルが初めに実践して注目を集めました。グーグルとはどんな企業で、何の目的でどんな風にマインドフルネスを取り入れたのか、見てみましょう。

グーグルとは、どんな企業?
グーグルは、アメリカに本社があるIT界のトップ企業です。検索エンジン、オンライン広告、クラウドコンピューティングなどインターネット関連の事業を展開している有名なグローバル企業です。アメリカでマインドフルネスが注目されるようになったのは、グーグルが社員研修に取り入れたからだといわれています。

マインドフルネスを活用したグーグル
グーグルが掲げた目標とは
グーグルは、優秀な社員が仕事で成果を出しても、必ずしも社員の幸せに結びつくわけではないことに着目しました。その解決のために、世界一健康で幸せな会社を作る、という目標を掲げ、マインドフルネスを社内の自己啓発プログラムに取り入れました。
社員が開発したSIYプログラム
2007年に社員のチャディー=メン・タン氏が、マインドフルネスの瞑想を社内に広めようと「Search Inside Yourself」(SIY)(己の内を探れ)というプログラムを開発しました。社内では常に百人の社員が順番待ちするほどの人気で、社外でもSAP、フォード、フェイスブックなどの大企業で実践されています。
グーグルでは、もともとエンジニア達が就業時間の20%をメインの仕事以外に使うことが認められています。その時間を使ってチャディー=メン・タン氏によって作られたのが、このSIYというプログラムでした。優秀なエンジニアが開発しているため、科学的根拠にしっかり裏付けされたプログラムになっています。

グーグルのSIYプログラムとは?
グーグルのSIYプログラムとは、マインドフルネスをもとに作られたEQを鍛えるためのカリキュラムのことです。EQとは Emotional Intelligence、心の知能指数のことで、自己認識、自己制御、モチベーション、コミュニケーション、共感の5つの要素から成ります。

ハイパフォーマンスのために瞑想が必要な訳とは?
SIYプログラムは、リーダーシップの育成やパフォーマンス向上のために、最新の脳科学をもとに開発されました。なぜ、リーダーシップに瞑想が必要なのでしょう。リーダーに必要な資質とは、自分自身と他人の気持ちを推し量り、判断した情報をもとに思考、行動することです。
EQの5つの要素である、自己認識、自己制御、モチベーション、コミュニケーション、共感の能力が高ければ、自他ともに置かれた状況を正確に判断して、的確な行動がとれるのではないでしょうか。EQが高い人は、仕事のシーンでリーダーシップを存分に発揮できるでしょう。

SIYプログラムがビジネスマンに人気の理由とは?
SIYプログラムは、心の問題があるために、仕事の能力が高くても発揮できないことを解決するために作られました。同じ悩みを持つビジネスマンにとっても企業にとっても、SIYプログラムは必須のプログラムだったのです。

チャディー=メン・タン氏の「やさしいマインドフルネス」

SIYプログラムの開発者であるチャディー=メン・タン氏が、実際にしている「やさしいマインドフルネス」もおすすめです。夜寝る前の2分間、マインドフルネスの瞑想をしているそうです。リラックスして座り、自分の呼吸に意識を向けます。あるがままでいる、存在していることを楽しむのがコツです。

マインドフルネスのためのアプリも活用しよう
最近はアプリでも気軽にマインドフルネスが実践できるようになりました。アプリならいつでもどこでもできますね。記憶力向上といった目的別のアプリもあるので、気に入ったアプリを見つけてマインドフルネスを実践してください。

日本でもSIYの講習が受けられる
日本にも荻野淳也氏というSIYの認定講師がいて、講習が受けられます。2013年に国内の企業を対象に、SIYの導入をコンサルティングする組織を立ち上げ、マインドフルネスの普及に努めています。リーダーシップ開発と組織開発を主眼に、上場の大手企業からベンチャー企業まで幅広く関わっています。

マインドフルネスを実践してハイパフォーマーになろう
マインドフルネスの瞑想をすると、ストレスが減り、感覚が鋭く、頭の回転が速くなり、記憶力と集中力が高まるので、仕事の効率が格段に上がります。さらにSIYプログラムの実践で、リーダーシップを育成して、ハイパフォーマーになりましょう。
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