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和色の名前や意味一覧!日本の伝統色の美しい組み合わせ・配色の見本を紹介
和色ってご存知ですか?和色は日本に昔からある伝統色で、今ひそかに人気上昇中です。和色の名前や意味、美しく見える組み合わせや配色について調べました。あなたも和色を上手に使いこなして、ワンランク上のおしゃれを楽しんでくださいね。

目次
和色(わいろ)って何?
和色という言葉が聞きなれない人も多いでしょう。実は今、注目する人が増えているんです。和色は日本に昔からある伝統色のことで、1,100種類もあると言われています。日本人は四季折々の植物や鳥、動物といった自然に存在する色を愛でて名前を付け、暮らしに取り入れてきました。西洋の色とはまた違った落ち着いた趣があります。
和色は日本人の暮らしに深くかかわっており、絵画や染色はもちろん、詩歌や文学にも表現されてきました。平安貴族の女性が着た十二単衣(じゅうにひとえ)の配色の美しさが代表的ですね。一時期は人気でも時間と共に消えてしまった和色、まだ埋もれている和色もあるかもしれません。とてもロマンチックですね。 あなたも日本の伝統文化である和色を使いこなしてみませんか。
和色は大きく分けて7種類ある
和色は大きく7系統に分けることができます。黒白系、紫系、青系、緑系、黄色系、茶系、赤系の7グループです。それぞれのグループで代表的な和色の名前や意味を見ていきましょう。ご存知の和色があるかもしれませんよ。
黒白系の代表的な和色
「漆黒」(しっこく)
漆黒は近年になって使われるようになった和色です。漆黒はその字の通り、黒い漆(うるし)の色という意味です。漆特有の光沢のある深い黒で、純粋な黒を指します。艶ややかな濃い黒髪を「漆黒の髪」、真っ暗で何も見えないような闇を「漆黒の闇」という使い方をします。純白の対義語の和色です。
灰汁色(あくいろ)
灰汁色という和色は、灰汁のような黄色味を帯びた灰色を指します。灰汁は文字通り、木や藁(わら)の灰を水に浸してできた上澄み液のことで、アルカリ性の性質を利用して古くから布の洗濯や染物の触媒に使われました。灰色と似ている和色ですが、灰色は石炭の灰の色を指します。灰汁色が植物由来なのに対して、灰色は鉱物由来という違いがあります。
紫系の和色は人気がある
江戸紫(えどむらさき)
江戸紫は青みの強い紫のことで、江戸時代の豪農が紫草の栽培から染色まで手掛けて作った和色です。江戸時代の歌舞伎役者、市川団十郎が「助六由縁江戸桜」で頭に巻いている鉢巻の色に使われ、江戸の代表的な和色になりました。京都の「京紅」とよく対比されます。また、京都の赤っぽい紫である「古代紫」に対して、青みの強い江戸紫を「今紫」と呼ぶこともあります。
青系の和色の中でも人気が高い
浅葱色(あさぎいろ)
浅葱色は、昔から日本で栽培されている葱藍(たであい)で染めた薄い藍色のことです。浅葱というのは葱の葉の色を指し、平安時代からとても人気のある和色の一つです。日本の和色の中には浅葱がつく派生色が多く存在します。浅黄色(うすきいろ)は赤みのある黄色を指すので、全く別の和色です。浅葱色は新撰組の羽織の色としても有名です。
緑系の和色といえば
萌黄色(もえぎいろ)
萌黄色の意味は、春に萌え出す新緑の色のことです。平安時代から人気のある和色で、「萌木」とも書きます。葱の若い芽を意味する「萌葱」とも書きます。黄色がかった上の萌黄色に対し、下の萌葱色は濃い緑で、厳密にいうと別の和色です。『源氏物語』「若菜下」にも「柳の織物の細長、萌黄にやあらむ」とあるように平安貴族にもおなじみの和色でした。
萌葱色(もえぎいろ)
こちらの萌葱色は、字の通り葱(ねぎ)の芽が萌え出てくる時の、青みがかった濃い緑のことです。萌葱色も平安時代から大変人気のある和色です。歌舞伎の舞台で使われる引き幕にも、黒や柿色とともに萌葱色が使われています。
鮮やかな黄色系の和色
山吹色(やまぶきいろ)
山吹色は、山吹の花から名前を取った和色で、平安時代から使われてきたおなじみの色です。赤みがかった鮮やかな黄色を指します。山吹の花自体は、万葉集にも詠まれています。『源氏物語』「紅葉賀」にも「まばゆき色にはあらで、紅、紫、山ぶきの地の限り織れる御小袿などを着たまへるさま、いみじう今めかしくをかしげなり」とあります。
茶系の和色は落ち着いている
朽葉色(くちばいろ)
朽葉色は、赤みがかった彩度の低い茶色のことです。江戸時代には「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねず)」とも呼ばれ、赤みが強い「赤朽葉」、黄色みが強い「黄朽葉」という名前がついて区別されました。『源氏物語』の「野分」でも「いときよらなる朽葉の羅、今様色の二なく打ちたるなど、ひき散らしたまへり」とある、人気の和色です。
目立つ赤系の和色
緋(あけ)
緋は、黄色がかった鮮明な赤を意味しています。平安時代から使われてきた和色です。自生する茜の根を原料にして作られます。茜は奈良時代から使われていましたが、平安時代に染色の方法が変わったために色調も鮮やかになりました。
おすすめの和色の組み合わせ
襲 (かさね)の色目は着物の配色
着物の襟もとの配色を「襲の色目」と呼びます。もともとは平安時代の公家の装束で使われた和色の組み合わせのことです。着物の表地と裏地の配色を楽しみました。男女ともに季節や年齢によって着用する色が決まっていたようです。平安時代の装束に使われた絹は大変薄い生地で裏地の色がよく透けたので、上品な美しい色の組み合わせが考案されました。
重ねの色目は大まかに分けて、春、夏、秋、冬、一年中通用するものの5種類あります。対照的な和色の組み合わせや同系色の和色の配色、同じ和色の組み合わせなどいろいろあり、配色の名前がついています。それぞれの季節ごとに代表的な和色の配色を見ていきましょう。
春は梅の配色がおすすめ
名前からして春らしい組み合わせですね。梅は表が白、裏が蘇芳(すおう)という、黒みがかった赤です。和色の白は、日本の伝統色の中でもかなり古い部類に入ります。古代から白は神聖な色として別格の扱いでした。これは現在も変わらないでしょう。白という和色は本来、光をまんべんなく反射して、明るく感じさせる色という意味です。
蘇芳という和色は植物の名前をとっていて、蘇芳の芯にある色素から作られます。ミョウバンで発色させると赤になりますが、灰汁(あく)では赤みがかった紫に、鉄では濃い紫になります。この組み合わせでは白い表の生地に濃い赤が透けて梅の花のような色合いになります。明るい和色が初春にとてもよく合う配色ですね。
夏は杜若 (かきつばた)でさわやかに
杜若は表が二藍(ふたあい)、裏が萌黄という和色の組みあわせです。杜若の花と葉の色を表現しています。二藍は藍の上に紅花を重ねた明るい青紫の和色です。紅藍と藍で染めたことからこの名前が付きました。平安時代から使われてきた和色で、年が若いと紅が多めで、年を重ねると藍が強くなります。それで二藍といっても年齢に応じた色味になります。おもしろいですね。
紫苑 (しおん)は秋に合う
紫苑は表が淡い紫の薄色(うすいろ)、裏が青という配色です。六月から九月まで長く使える和色の組み合わせです。薄色は淡い色全般を指すのではなく、濃い紫を濃色(こいろ)と呼んだので、淡い紫を薄色と名づけました。これは紫が平安時代に特別高貴な和色だったために、細かく区別されたようです。
青は基本となる和色の一つで、快晴の日の海やラピスラズリの色などを総称してこう呼びます。青は歴史が古い和色で、白や黒、植物の緑も含んだ時期もあります。平安時代には青白橡(あおしろつるばみ)という灰色がかった緑色を青と呼びました。現代でも信号の青は緑色を指しますよね。青という和色に関する習慣が残っている証拠です。
冬は似た色同士の氷重 (こおりがさね)
氷重は表が鳥の子色(とりのこいろ)、裏が白という似た和色の組み合わせです。鳥の子色という和色は、ほんのり赤みがかった淡い黄色を指します。これは卵の殻から名前がつきました。平安時代の襲の色目では『鳥の子襲』という配色があり、表が塋色(みがきいろ)裏が蘇芳と決められており、老人の装束に使う和色の組み合わせでした。
1年中使える花田 (はなだ)
花田は表も裏も同じ縹(はなだ)という和色です。縹はややくすんだ青のことです。老人は裏を白に替えます。花田は季節を問わず一年中使える和色の組み合わせです。同じ藍染でも紺、藍、縹、浅葱の順に色が薄くなっていきます。襲の色目は、花田のように同じ和色を重ねる配色も多いのが特徴です。
松重 (まつがさね)も季節を問わない
松重は表が青、裏が紫の組み合わせで、こちらも季節に関係なく1年中使えます。十五歳以上から大丈夫ですが、老人は使わないという決まりがあるようです。紫は青と赤を混ぜた和色です。紫も古くから使われてきた人気の色ですが、濃い紫は宮廷でも仏教界でも身分の高い者しか身に着けることはできませんでした。
和色をうまく暮らしに取り入れよう
和色の名前や意味を見てきました。知っている和色はありましたか?日本人の繊細な感性を取り入れた和色の組み合わせもぜひ参考にしてください。正月などに上手に着物の着こなしに取り入れたいですね。