妊娠・育児
日本の出生率が低い?地域別の比較と嬉しい子育て支援のある都市を調査
最近、日本では出生率が低いことが問題視されています。このまま出生率が上昇せず少子化が進むと日本はいったいどうなってしまうのでしょうか。そして出生率を上げ少子化を食い止めるために、各自治体はどのような子育て支援を行っているのでしょう。子育て世代必見です!

目次
出生率とは何?

昨今、日本の少子化問題が非常に深刻になってきています。日本人の4人に1人が65歳以上である現在の高齢化社会の原因のひとつには、日本の出生率の低さにあるようです。では出生率が低いとはいったいどういうことを意味しているのでしょうか。
日本の出生率の低さって何なの?って
— こやまし (@tokyo_kymc) December 17, 2017
一瞬思うくらい周りがこどもだらけ。
出生率には二種類あります。一つ目は「人口1000人当たりで1年間に何人の子供が生まれたか」の割合を示すものです。これを算出するための人口には性別や年齢の区別はありません。もうひとつが『合計特殊出生率』と言い、一般的に出生率というのはこれにあたります。

この『合計特殊出生率』は、女性一人が一生のうちに産む子供の平均を表した数字で、1年間に生まれた子供の数を15歳から49歳までの女性の人数で割って算出します。この出生率が低い原因は何が考えられるのでしょう。また、いろいろな地域を比較したとき地域によって何か違いがあるのでしょうか。詳しく調べていきたいと思います。
日本の出生率はどのくらい?
30ヶ月ぶりに帰国して、「JRの券売機には日本で典型的な家族構成である大人2人と子供2人のボタンがなぜない?西武線にはあるのに。」と書こうと思って念のため調べたら、初めて出生数が100万人を切った2016年の出生率は1.4なので、日本では一人っ子の家庭が少なくないと改めて気がついた。 pic.twitter.com/L3ED1FzcQY
— ウィーンでいいの (@fyiino) January 7, 2018
第一次ベビーブームと呼ばれた戦後の1947年から1949年、日本の出生率(合計特殊出生率)は4を上回っていました。しかしその後は絶えず下降し続け、2005年には1.26と過去最低の出生率を記録します。そこから少しずつ上昇傾向を見せたものの、明らかとなっている2016年の日本の出生率は1.44と相変わらず低いままになっています。
さらに昨年の2017年に生まれた子供の数は100万人にも満たない約94万人となっており、出生率の低下がストップする様子はまだ見られません。では世界の他の国と比較しても日本の出生率は低いのでしょうか。アフリカなどの貧しい国や地域では比較的、出生率が高い傾向にあります。途上国では子供は労働の担い手となり、生活のために必要な存在なので子供をたくさん産みます。
途上国と比較すると子供の養育や教育にお金がかかる先進国では、子供を産むのを躊躇する人が多いため出生率が低くなってしまうのです。先進国の中でもフランスは1.96と比較的出生率が高い国ですが、一度1.66まで落ち込んだフランスの出生率が再び上昇したのは、子育て支援の充実によるものだと言われています。
「出産と仕事を天秤にかけた時、女性が仕事を選ぶ現実を認めた。その上で子育て支援を考えたフランスで出生率が増加したのだ」という記事を読んだ
— 篠岡 (@syrup_summer) December 26, 2017
後に詳しく紹介しますが、子供が育てにくくなったと言われる日本では、出生率を上げるべく現在いろいろな地域で子育て支援が行われています。日本もいつかフランスのように、子育て世代に優しい国になって欲しいですね。
日本で出生率が最も低いのは東京都
現在、日本国内において最も出生率が低いのは東京都ですが、東京都の出生率が低いのは大都会ならではの理由があるのです。東京に移り住むのは圧倒的に若者が多いです。しかも「絶対ビッグになってやる」とか「デカい仕事を成し遂げてやろう」とかいった大きな夢を抱いてやってくる若者がほとんどでしょう。
東京は独身多いからアレだけどもう地元戻ったらやーばいね
— 6 (@6mimiperapera) January 7, 2011
そのような若者は男女問わず、どうしても結婚が後回しになってしまう傾向があります。他の地域と比較しても物価が高く子育てにもお金がかかる東京では、子供よりも先に自分の仕事を優先していまう人が多いようです。しかし、そんな大都会・東京でも子育て支援は例外なく行われているので、のちほどご紹介します。
日本の出生率が低いのは「結婚したくないから」
やっぱ 結婚したくないなー。
— もかさん (@DeHsqt) January 18, 2018
でも、1人は寂しいし 老後が不安…。結局 お金なんだよね。
日本の出生率の低下には『生涯未婚率』の上昇が大きく関係しています。女性が結婚したくない理由のひとつは、働く女性が増え結婚しなくても自分で多くの収入を得られるようになったことです。さらにパートナーには自分より多く稼ぐ人を求めるので、なかなか条件に見合う人がいないと厳しい意見もあります。

核家族化が進み、家族や親せきづきあいが希薄になっていることも結婚したくない理由のひとつです。彼氏がいくら素敵な人でも、結婚となると同居や介護の問題もあり、彼の両親と仲良くできなければ結婚したくないのです。ちなみに男性が独身でいたい理由には「家族を養うのが面倒、お金や時間は自分のために使いたい!」というのが多いようですね。

日本の出生率が低いのは「もう少し独身を楽しみたいから」

「結婚はしたいし子供も欲しいけど、もう少し独身を楽しみたい!」という人が増え晩婚化が進んでいることも、日本の出生率を下げる原因になっています。もちろん、結婚したいのに収入が安定せずプロポーズできないという、景気の悪さが背景になっていることも否定できません。

やっと独身生活に満足し、いざ結婚、子作りを!となっても、晩婚夫婦が子供を授かるのに時間がかかるケースは少なくはありません。医療技術が発達し、30代後半から40代の高齢出産の割合も増えつつありますが、高齢になってからの自然妊娠はやはり難しいようです。
出生率を上げるために政府は不妊治療や高齢出産の補助を手厚くするべきだと思う。
— 婚活T (@konkatuteacher) January 14, 2018
……と、アラフォーになってから都合よく考えている。
20代の卵子凍結の無償化とかね。
男性の精子の質が衰えたり女性の卵子の老化の影響もあり、不妊治療を続けなくてはいけない場合もあります。妊娠しても、出産には多少のリスクを伴うこともあるでしょう。結果、晩婚夫婦には子供ができなかったり、体力的にも子供は一人が限界であるという理由から日本の出生率は低下しているのでしょう。

日本の出生率が低いのは「子供はお金がかかるから」
結婚しても子供を作らない夫婦もいます。子供を作らない理由のトップに挙げられるのが「子供はお金がかかるから」です。子供1人を成人まで育て上げるのに平均して1500万円かかると言われています。しかし高校や大学などの進路によっては3000万円ほどかかる場合もあるようです。
子供ひとり育てるコスト3000万とかでしょ…? そのお金あれば、子供を育てるのに等しい幸せは得られるのでは…? っていうのは、人生一回しかなくてどっちしかできないなら比べようが無いんだけど
— ダチョー@ (@dacho3) July 7, 2017
確かに、子供を育て上げるのに1500万円から3000万円かかると知れば、経済的に余裕のない夫婦なら産むのをためらってしまうのも無理はありません。日本の景気もなかなか安定せず、いつ職を失うかという不安と隣り合わせの状況で子供を諦めてしまう夫婦も多いのでしょう。

日本で出生率が高い地域とは
日本の出生率が低下する中で、ほとんど影響を受けずトップを守り続けているのが沖縄県です。中でも離島の地域には子供がとても多いようです。男性が精力的だから・・・という理由もときどき耳にしますが、出生率が高い大きな理由はやはり育てやすい環境にあるようです。
将来は「沖縄県 宮古島」に住みたい!
— トラ (@momochanss) January 19, 2011
この町に住んでいる人は暖かい人ばかりだと思うので。近所付き合いとかも大切にしたいので。
『SUUMOトモダチマップ』http://friendmap.suumo.jp/ #suumo_map
自然が豊かで子供がのびのびと育てられるというメリットや、近所の人や親せきなど家族以外の助けも得やすいことから、子供を産みやすい環境にあるのです。「なんくるないさー」という大らかな県民性もあり、産んでしまえばなんとかなる!と考える人が多いのでしょう。

日本の出生率を上げる経済的支援(祝い金・医療費など)
子供をたくさん産んでもらうために、出産祝い金や児童手当などの子育て支援を行っている地域があります。中でも手厚い支援を受けている地域をご紹介します。
島根県知夫村
島根県知夫村は経済的な子育て支援が充実している地域です。出産祝い金は第1子と第2子が50万円、第3子以上は100万円となっています。分娩や入院にかかる費用が十分まかなえますね。出産のための宿泊費も本人なら1日3000円まで補助してくれるので助かります。
三重県鳥羽市
鳥羽市では子供が産まれると1人につき3万円分の育児グッズ購入券が交付されます。おむつ代やミルク代の負担も大きいですが、これがあれば嬉しいですね!保育園や幼稚園は2人目からは無料になるので、この間に少しずつ貯金をしておくこともできるでしょう。高校生にかかる通学や下宿費などの助成もあります。受験を控えた高校生はお金がかかるので大助かりですね!
福島県矢祭町
矢祭町では子供を産めば産むほど嬉しい子育て支援があります。第1子、第2子の出産祝い金は10万円ですが、第3子では50万円に増えます。そして第4子では100万円となり、さらに第5子になると150万円の祝い金が支給されます。たくさん子供が欲しい人は矢祭町で産むのがお得ですね!

日本の出生率を上げる子育て支援
新潟県新潟市
新潟市では父親が積極的に育児休暇をとれるような子育て支援をしています。父親が10日以上の育児休暇を取れば、父親に10万円、父親の勤務する会社には30万円支給されます。この制度のおかげで新潟市にはイクメンが急増しそうですね!
東京都新宿区
なんとなくそれぞれの区の子育て支援的なのを調べてたら千代田区港区新宿区すごすぎてワロタ。
— ぴこ (@tfOOAxy3zlGCiEK) January 16, 2017
特に新宿区の家賃補助(月3万最長5年)めちゃくちゃいいじゃん。
やっぱ税収が良い街に住んだ方がいいのね…
東京は出生率の低さではNo.1でしたが、子育てしやすい都市として名高いのは、意外なことに東京都新宿区なのです。東京23区の中でも出生率は高く子育て支援が充実しています。待機児童は23区の他の地域と比較しても圧倒的に少なく、保育料に関しては一律4万円の助成が出るようになりました。

病気で保育園を休まなくてはいけない子供を預かってくれる『病児保育』や『休日保育』なども充実しています。小学生の学童保育も夜の7時まで預けることができるなど、働くお母さんにとって心強いサポートがたくさんある都市です。

出生率を上げるための各地域の子育て支援いろいろ
おむつ代の助成
群馬県中之条町では、満1歳までの乳児に使うおむつやおしりふきなどの消耗品費を一部負担してくれる制度があります。赤ちゃんのお世話用品は意外に家計を圧迫しますが、なくてはならない物ですよね。月3000円という上限はありるものの、期間が1年間と長いのでとっても助かります!
3人乗り自転車の助成
子育て世代の必需品と言えば自転車。しかし普通のママチャリと違って安定性のある子供乗せ自転車は結構高いです。この子供乗せ自転車の購入費用の半額を負担してくれるのが兵庫県赤穂市と埼玉県熊谷市です。赤穂市では最大4万円、熊谷市では最大3万円までと上限はありますが、必要な物が安く買えるのは嬉しいですね。
自動車の無料リース
NHK。池田市すごいな。子育て支援で、3人目の子供が生まれたら、ダイハツ車を無償貸し出しなのか。https://t.co/8UdTY93LkW
— かわさん (@kawasan3) April 14, 2017
子育て世代に優しい都市として人気が高いのが大阪府池田市です。池田市にはダイハツの本社があり、第3子以上を出産すると3年間ダイハツの車を無料リースできるのです。自転車ももちろん便利ですが3人以上子供がいる人や、雨の日の送り迎えなどには車があるとさらに便利ですね。

日本の中で出生率が低い地域と高い地域の比較
日本国内において出生率が低い地域と高い地域を比較してみましょう。前述の新宿区を例外として、ほとんどの都市部では出生率が低い地域が多いです。東京だけでなく関西でも、都市部より郊外の方が比較的出生率は高めになっています。地域によってなぜこのような違いが出るのかは、いろいろな条件を比較してみるとよくわかります。
田舎の出生率が高くて都会の出生率が低い理由なんて金だよ金
— せとあるん (@Starn353) June 2, 2017
たとえば物価の違いです。物価の高い都市部では出生率が低い傾向にあります。逆に物価の安い地方では出生率が高くなります。やはり都市部に住む人は、子育てにかかる費用が気になってしまい出産に踏み切れないという気持ちがあるのでしょう。同じ日本でも地域によって考え方が違うのですね。
日本の出生率を上げるために必要な子育て支援とは

日本の出生率を上げるためにどのような子育て支援が求められているのでしょう。まず一つは、夫婦が共働きしやすい環境を作ることです。つまり保育園や学童保育が充実し、母親が家計を助けるようにすれば収入は増え、子供を育てやすくなります。そのためには保育園の定員を増やしたり保育料を下げて、親の負担を少しでも減らさなくてはいけません。
経済的な子育て支援だけではありません。子育てしやすい町には母親教室や子育てサークルで多くのイベントが開催されています。子育て中の母親には、実家から離れ知らない土地で孤独を感じている人もたくさんいます。そのような悩みを解決し、安心して子育てできる環境作りをすることが、日本の出生率を上げるためにも必要なのではないでしょうか。

出生率を上げるための日本の少子化対策

現在、日本では様々な少子化対策が検討されています。これまでも子供の医療費を無償にしたり児童手当が支給されたりするようになりました。現在、検討されているのが幼稚園や保育園の無償化です。実際に導入される時期はいまだ未定ですが、少しでも子供を育てやすい環境になればよいですね。

日本の出生率の低下が引き起こす問題
このまま出生率が下がり続け少子化が進むと、2060年、日本の人口は現在の3分の2である約8600万人になると予測されています。そのうちの約40%が65歳以上の高齢者であり、働き手となる『生産年齢人口』は今のほぼ半数になってしまうのです。
このまま少子化が続くと絶対経済悪化するし、それに加えて機械による自動化が進んでいる日本社会
— ぱーやん( ) (@hagachanreal) July 23, 2016
日本脱出しようかな(適当)
こうなると日本全体の生産量が減り、それに伴い消費量も減少するでしょう。子供を産む産まないというのは確かに個人の選択であり強制してはいけないものです。しかし産まない選択をする人の増加による出生率の低下は、実は日本の経済に大きな影響を及ぼすことも考えられるのです。
《まとめ》子供が国の宝になるような子育て支援を!
子は国の宝!
— 人 (@matsu0214t) January 7, 2018
自分が楽しむ時間より子供との時間を大切にしよう。#西郷どん
「子供は国の宝」という言葉がありますね。子供は将来、国を支えてゆく存在なので大切に育てましょう、という意味です。これに対して「手当ばかりもらってただの税金ドロボーだ!」とか「まともな大人になる確約なんてないのに」と心無い意見もあるようです・・・。

確かに昔に比べると便利な世の中になりたくさんの情報が飛び交う中、子供による犯罪が目立つようになってきました。親と子供の関係にも変化があり、子供らしい素直な子供というのも少なくなってきているのでしょうか。しかし、そうなってしまった背景には子供がのびのびと育つことができない環境や、社会情勢が関係しているのかも知れません。

子供が子供らしく生きるためにもっと子育て支援が充実すれば、本当に『国の宝』となるような子供がたくさん育つのではないでしょうか。住みよい国になれば出生率はきっと上がるはずです。出生率や子育て支援に関して今はまだたくさんの課題がありますが、いつの日か大人も子供も、すべての人が笑顔で暮らせる世の中になると良いですね!