ペット
犬の血尿から考えられる5つの病気!すぐに病院へ連れて行くべき指標は?
愛犬が血尿を出しているのはSOSのサインです。本記事では、犬の血尿から考えられる5つの病気、愛犬を病院に連れて行くべき指標、血尿の治療・検査方法などをまとめました。いざという時に備えて、犬の血尿から考えられる病気をチェックしておきませんか?

目次
犬が血尿となる原因や来院の指標を解説
家族のように大切な愛犬が血尿を出していると、飼い主さんは”何か病気なのかな”と不安に思いますよね。犬の血尿は人間の血尿と同じで、尿に血が混ざった状態の事を指します。愛犬が血尿を出している時はSOSのサインです。愛犬が健康に過ごせるように、犬が血尿となる原因や血尿が症状として現れる病気、病院で行われる検査方法などを知っておきましょう。
犬の血尿は病気の可能性が高い
犬の血尿は、何らかの病気が原因で出ている可能性が高いと言われています。血尿が症状として現れる病気は数多くあり、それぞれ原因や病院での治療方法などは異なります。犬の血尿の原因が病気以外だと考えられるのは、その犬がメスで発情期を迎えている時だけです。
メス犬が避妊手術を行っていないと半年ほどの周期で発情期を迎え、人間で言うところの生理のような出血を起こします。発情期の出血と病気が原因の血尿を見分ける時は、犬の陰部と体から発せられる匂いをチェックしましょう。発情期が原因で出血をおこしている時は陰部が腫れています。
それに加え、発情期を迎えているメス犬からは特有のフェロモンの匂いが発せられていますので、避妊手術を行っていないメス犬が出血・血尿を出した場合は、陰部の腫れと匂いの有無を確認し、発情期が原因でないと考えられる場合は早急に動物病院を受診しましょう。
発症しやすい犬の特徴
犬は膀胱炎が原因で血尿を出すことがあります。血尿の原因となり得る膀胱炎を発症しやすい犬種は、ミニチュアシュナウザー・ミニチュアダックスフンド・ダルメシアンなどです。他にも、若い時は血尿を出していなかった犬も、年を重ねて所謂「老犬」になると血尿を出す可能性が高くなります。
犬の血尿に関する5つの病気
血尿と聞くと鮮血をイメージされるかもしれませんが、犬の血尿はピンクやオレンジ、茶色のような色味をしているケースがありますので、愛犬の尿の色を確認したい時は、色味をしっかりと見る事が出来る白色のペットシーツがおすすめです。
血尿が犬の体から発せられるSOSのサインだという事を知ったところで、続いては犬の血尿に関する5つの病気をチェックしていきましょう。それぞれの病気の症状と、愛犬を動物病院へ連れて行くべき指標も併せてご紹介します。
尿路結石症
血尿が現れる病気の一つに、尿路結石症があります。尿路結石症は名称の通り、尿の通り道である”尿路”と呼ばれる腎臓や尿管、膀胱や尿道のどこかに結石が作られてしまう病気です。尿路結石症を患うと結石が尿路を傷付ける事によって出血が起こり、それが血尿として現れます。
また、結石が尿道に詰まると尿が出なくなり命に関わる場合もありますので、愛犬の尿が出づらい時や排尿時に痛みを感じる素振りを見せている場合は、早めに動物病院に連れて行きましょう。
膀胱に関する疾患
愛犬の尿の回数が多い、血尿が出ているといった時は膀胱炎などの病気の可能性もあります。繊細な性格をしている犬はストレスが原因で膀胱炎を患う事もありますが、膀胱炎の多くは細菌感染が原因だと言われています。
膀胱炎を放っておくと腎盂腎炎や尿路結石症などの病気まで発症する恐れがありますので、尿の回数が多い、排尿時に痛みを感じているなど、愛犬が普段と違う様子をしている時は動物病院に連れて行きましょう。
前立腺の肥大
血尿を出している犬がオスの場合は、前立腺の肥大が原因の可能性があります。前立腺は人間の男性と、動物のオスにだけある臓器です。この前立腺が腫れると尿道が圧迫されてしまい、血尿が出る事があります。
血尿の他には、排尿時に痛みを感じて痛がる素振りを見せたり、痛そうな声を上げる事もあるようです。このような素振りは何らかの異変のサインですので、念のため動物病院を受診しましょう。
飲食物による中毒症状
玉ねぎやチョコレート、ぶどうやイカといった食べ物、コーヒーやココア、アルコールといった飲み物は犬に与えてはいけません。これらの飲食物を犬が口にしてしまうと、血尿だけでなく嘔吐や下痢といった中毒症状や、急性腎不全を起こす可能性があります。愛犬が犬にとって危険な飲食物を誤飲してしまった場合は、仮に中毒症状が現れていなくても、念の為病院を受診するようにしましょう。
細菌による感染症
犬が血尿を出した時は、フィラリア症やバベシア症といった感染症が原因の可能性もあります。フィラリア症は寄生虫が原因の病気で、血尿以外に咳や食欲不振、お腹が膨らむ、元気が無くなるといった症状が現れます。
一方のバベシア症はバベシア原虫が病原体で、マダニに噛まれる事で感染する恐れのある病気です。バベシア症を患うと、血尿以外に発熱や貧血、酷い時には多臓器不全が起こり、最悪の場合は命を落とす可能性もあります。愛犬が咳をしたり呼吸が苦しそうな時、発熱がある時は感染症を疑い、動物病院を受診しましょう。

【病気別】犬の血尿治療・対処方法
愛犬の健康に注意していても何らかの病気を患ってしまい、血尿などの症状が現れる事もあるでしょう。万が一、愛犬が何らかの病気を患ってしまった時は、原因だけでなく治療や対処方法を飼い主さんが知っておく事が大切です。そこで続いては、犬の血尿の治療と対処方法を先述した5つの病気別にご紹介します。
尿路結石症の場合
尿路結石症の治療は、食事療法や薬物療法が一般的です。しかし、結石が薬物治療で溶けない場合やサイズが大きい場合は、結石を取り除く外科手術が行われる場合もあります。早い段階で治療を始めれば食事療法と薬物療法だけで済むケースが多いので、愛犬の異変に気が付いたら早めに病院を受診する事が大切です。
膀胱に関する疾患の場合
膀胱炎など、膀胱に関する病気が原因で血尿が出ている場合は、抗生剤などの薬物治療を受けます。また、膀胱に腫瘍が出来ている場合は良性か悪性かを判断し、悪性の場合は腫瘍を取り除く外科手術を提案される場合もあるようです。
前立腺の肥大の場合
オス犬で前立腺の肥大が原因で血尿が出ている場合は、去勢手術を行うケースが多いようです。その後、ホルモン剤などの薬物療法を受け、治療を続ける事で血尿が出なくなるとされています。老犬になってからの去勢手術は体への負担が大きくなるので、オス犬と暮らしている飼い主さんは、愛犬が元気なうちに去勢手術を受ける事を検討しましょう。
飲食物による中毒症状の場合
愛犬が犬にとって危険な飲食物を口にしてしまった時、口の中にまだ飲食物が残っている場合は、愛犬が飲み込んでしまう前に飼い主さんが掻き出しましょう。万が一飲み込んでしまった場合は吐き出させようと考えるかもしれませんが、素人が無理やり吐かせるのは危険な行為です。
この場合、獣医に正しい情報を伝えるために、何時頃に何を誤飲してしまったのかをメモして早急に動物病院に愛犬を連れて行きましょう。動物病院では胃洗浄や抗酸化剤などの薬物治療が行われる事が多いようですが、中毒症状が重く貧血状態に陥っている時は、輸血などの処置が検討されるケースもあります。
細菌による感染症の場合
フィラリア症やバベシア症といった感染症の場合は、治療の前に原因を特定する検査を受けます。寄生虫が原因のフィラリア症の場合は、薬物によって寄生虫を駆除するか、外科手術によって寄生虫を摘出する事が殆どです。
バベシア症と診断された場合は、ジミナゼンなどの薬物治療を選択されるケースが多いようです。しかし、バベシア症は薬物治療で完治する事が難しいと言われており、一時的に症状が現れなくなっても、数ヵ月後に再発してしまうケースが多いとされています。
犬の血尿時に行う病院の検査
愛犬が血尿を出した時は、病気の可能性を疑って早めに動物病院を受診する事が大切です。しかし、検査方法などを知らないまま動物病院を訪れると、”今から愛犬はどんな検査を受けるのだろうか”と飼い主さんは不安に思ってしまうかもしれません。そうならないように、動物病院で行う血尿時の主な検査方法をチェックしておきましょう。
尿検査で細菌・寄生虫の有無を確認
犬が血尿を出している時は、まず初めに尿検査を行う事が殆どです。検査は犬の尿を試験管に入れ、顕微鏡で観察する方法が一般的です。細菌や寄生虫の有無を確認し、血尿の原因や病気の可能性を探っていきます。
造影検査で体内の状態を確認
血尿が出ている時は体内の状態を確認する為に、尿検査だけでなくMRIやCTなどの造影検査や、X線検査を行う場合があります。造影検査で結石が確認された場合は尿路結石症と診断され、その後の治療方法が獣医師から提案されるでしょう。
血液検査で腎臓機能を確認
犬の血尿の原因が膀胱炎だと考えられる時や、腎盂腎炎を患っている可能性がある時は血液検査を行い、腎臓機能を確認する事があります。腎盂腎炎を患っている可能性がある場合は、どの薬が適しているのかを調べる為に、外部の機関に検査を依頼する事もあるようです。腎盂腎炎は膀胱炎が悪化した事が原因である事が多いので、愛犬の尿のチェックは欠かさないようにしましょう。
犬の血尿予防となる生活習慣
犬の血尿の原因の多くが尿路結石症などの病気である事、病院での検査・治療方法などを知ると、”愛犬が血尿を出さないように予防したい”と考えるのが飼い主さんというものですよね。ご紹介してきたように、犬の血尿は病気と深い関係性がありますので、血尿を予防するには愛犬の生活習慣を正す必要があります。どのような生活習慣が血尿の予防になるのか、早速チェックしていきましょう。
飼い主との十分な接触
犬が病気にかかるのは、人間と同じくストレスも関係していると言われています。愛犬に寂しい思いをさせたりストレスを溜めさせないように、日頃からスキンシップの時間を十分に設けるようにしましょう。日頃の様子を把握出来ていれば、愛犬に異変が現れている時にすぐに気が付く事も出来ます。
体質・健康状態に合った食事
血尿や病気を予防する為には、愛犬の体質や健康状態に適した食事を与える事も大切です。常に同じ餌を与えている方は、その餌が愛犬に適しているのか今一度確認しましょう。また、通常の食事で補えきれない栄養素は、犬用のサプリメントを活用するのがおすすめです。
血尿以外で注意すべき尿の異常
ここまで犬の血尿についてご紹介してきましたが、犬の尿に現れる異常は血尿だけではありません。犬の尿は健康状態を表していますので、愛犬の尿に異常がないか必ずチェックするようにしましょう。続いては、血尿以外に注意すべき尿の異常を3つご紹介します。
尿が多い
尿が多い場合は水分を多く摂っているだけという可能性もありますが、糖尿病やクッシング症候群、尿崩症といった病気の可能性もあります。また、尿が多い犬が避妊手術を行っていないメスなのであれば、子宮の中に膿が溜まる子宮蓄膿症の可能性もありますので、尿が多い日が続く場合は動物病院を受診しましょう。
白っぽくなっている
愛犬の健康状態を知りたい時は尿の色をチェックしましょう。もしも尿が白っぽくなっているのであれば、膀胱炎や前立腺炎といった細菌感染が原因の病気を患っている可能性があります。また、メス犬の尿に白っぽい塊のようなものが混ざっている場合は、膣炎の可能性も考えられます。
異様に光っている
愛犬の尿を観察した時に尿がキラキラと光っているように感じた場合は、尿に含まれるミネラルが結晶化している可能性があります。そのままにしておくと症状が悪化し、尿路結石症になってしまう事がありますので、尿がキラキラと光っている場合は早急に動物病院を受診しましょう。
普段よりも量が多くて色が薄い
犬の尿の量が多くて色が薄い場合は、腎不全を患っている可能性があります。腎不全は最初の頃は症状が出ない事が多いので、発見が遅れる事が多いと言われています。喉が渇くようになる、尿の色が薄くて量が多いのは腎不全の初期症状なので、このような症状が現れた場合は愛犬を病院に連れて行きましょう。
普段よりも色が濃い
人間と同様、犬も寝起きの尿は色が濃い事が殆どです。しかし、常に尿の色が濃い場合は脱水症状を起こしている可能性が考えられます。また、普段と同じ食事と生活なのに愛犬の尿の色が濃い黄色の場合は、肝臓の病気や泌尿器系の病気を患っている可能性があります。
普段と匂いが異なる
犬の尿は色だけでなく匂いでも健康状態を表しています。愛犬が排尿した際、普段と異なる匂いが漂ってくる事はありませんか?万が一、尿が臭いと感じた場合は細菌性膀胱炎や腎性尿糖といった病気の可能性があります。また、尿から甘い匂いがする場合は糖尿病の可能性がありますので、愛犬の尿の匂いが異なる時は念の為動物病院を受診しましょう。
犬の血尿を発見したら病院へ急ごう
今回は犬の血尿にスポットを当て、尿路結石症をはじめとした血尿が症状として現れる5つの病気と、動物病院での検査・治療方法、血尿以外に注意すべき尿の異常などをご紹介しました。犬の血尿は尿路結石症などの病気の可能性がありますので、発見次第すぐに動物病院へ向かい、状態に合った検査や治療を受ける事が大切です。また、愛犬の生活習慣を見直して血尿や病気を予防しましょう。